第259話

イザベラが言い終える前に、廊下の突き当たりの扉が開いた。

イーサンが入ってきた。片腕をアルファ・セバスチャンの腰に回し、歩けるよう支えている。セバスチャンは、かつてガラス張りの高層ビル最上階からヘイル・グループを支配していた、あの圧倒的なアルファとは似ても似つかない姿だった。肌は灰色がかり、手首には病院のリストバンドが巻かれている。

二人はヴィンセントの姿を見て足を止めた。

先に立ち直ったのはイーサンだった。「やあ、ヴィンセント・クロフォード。病院の廊下をうろつく幽霊みたいな君に出くわすとは思わなかったよ」

セバスチャンの目が細くなる。疲れ切った顔に、ゆっくりと認識が戻っていった。

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